研究概要

生体機能を模倣して新しい機能性分子を開発するバイオミメティクス研究は,太古から進化し続けてきた生物の最適解を材料開発に活用しようという挑戦的な分野である。 本研究室では,超分子化学的な手法を用いて結晶状態での生体機能の発現を目指して研究を行っている。 これにより,結晶としての性質と生体機能とが結合した新たな機能材料を生みだすことができる。 さらに,開発した材料をデバイス化することで,化学的な視点から新しい分子デバイス開発を進めている。 具体的な研究内容を下記に示す。

単結晶内部に動的イオン空間を人為的に構築することにより,新規機能性材料の構築を目指した。 例えば,イオンが包接可能な大環状分子を一次元に配列させることによってイオン伝導が可能な単結晶材料の合成が可能となる。 この様に作成した材料を用いて,その電気的,磁気的評価や熱的効果を評価する。 次いで,得られた物性値を基に固体電池などのデバイスへの応用を計り,新たな分子エレクトロニクスデバイスの構築を目指した。
現在,低次元スピンギャップ化合物の物理的・化学的研究が盛んに行われている。 中でも,スピンギャップ化合物の一種であるスピンラダー物質は一次元と二次元の中間に位置する材料であり,その基底状態に興味がもたれている。 加えて,この系は高温超伝導体の母体と類似した基底状態を有することから,キャリアドーピングによる超伝導相の出現が理論的に指摘されている。 そこで,本研究室では分子磁性体を基盤とした低次元スピンラダー物質の作成と本系へのキャリアドープを実現し,新種の分子性スピンラダー超伝導体の構築を目指した。
外部電場の印加により制御可能な双極子を有する材料は誘電体として知られており,その中でも自発分極を示す強誘電体は,不揮発性メモリや圧電体など応用性の高さから広く研究が展開されている。 従来,強誘電性は結晶構造に由来した物性である為,微細化によりその特性を消失し,単分子による特性発現は不可能とされてきた。 本研究室では,強誘電体のイオン移動機構を単分子内に集約することで,世界で初めて,恰も強誘電体の様に振舞う分子,単分子誘電体の存在について報告している。 現在では,単分子誘電体の機構の解明を始め,新規単分子誘電体の開発を進めている。加えて,単分子誘電体を実装したメモリデバイスの開発を目指している。

Grants

期間 研究課題 資金源
2024–2025 自転車等機関振興事業に関する補助金「全固体圧電二次電池の開発に関する補助事業」(代表:西原禎文)
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JKA(競輪)
2023–2026 基盤研究A「単分子誘電体が拓く未踏材料領域の探査」(代表:西原禎文) JSPS 科研費
2022–2025 戦略的創造研究推進事業(さきがけ)「単分子誘電体ストレージクラスメモリの開発」(西原禎文) JST さきがけ
2022–2023 自転車等機関振興事業に関する補助金「DX社会を支える超高密度不揮発性メモリの社会実装補助事業」(代表:西原禎文)
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JKA(競輪)
2020–2023 挑戦的研究(開拓)「電場による分子キラリティの制御」(代表:西原禎文) JSPS 科研費
2020–2023 研究成果展開事業 大学発新産業創出プログラム(START)「籠型分子を用いた超高密度不揮発性メモリおよび超低消費電力AIチップの開発」(代表:西原禎文) JST START
2020–2021 基礎科学研究助成「単分子誘電体を実装した微小誘電分子メモリの創出」(西原禎文) 住友財団
2020–2021 ムーンショット・ミレニアプログラム「宇宙に人類が進出するための「デジタル生物圏」構築に関する調査研究」(西原禎文) JST ムーンショット
2019–2022 戦略的創造研究推進事業さきがけ「ペタビット時代を支える革新的分子ストレージング技術の確立」(代表:西原禎文) JST さきがけ
2019–2021 基盤研究B「単分子誘電物性の構造学的解明と新規物質群開拓」(代表:西原禎文) JSPS 科研費
2018–2019 A-STEP 実証タイプ「超高密度記録に資する分子誘電メモリデバイスの改良と実証研究」(代表:西原禎文) JST A-STEP
2016–2018 基盤研究B「単分子誘電体の機能開拓と応用」(代表:西原禎文) JSPS 科研費
2016–2017 挑戦的萌芽研究「イオンスイッチ分子トランジスタの創出」(代表:西原禎文) JSPS 科研費
2016–2017 産業基盤の創生「単分子強誘電素子の開発」(代表:西原禎文) キヤノン財団
2012–2016 新学術領域「超低速ミュオン顕微鏡」(分担) JSPS 科研費
2012–2014 基盤研究B「イオン移動型ポリオキソメタレートを用いた新規機能創出」(代表:西原禎文) JSPS 科研費
2011–2012 挑戦的萌芽研究「リボルバー型分子を利用した新規機能創出」(代表:西原禎文) JSPS 科研費

JKA補助事業は、競輪・オートレースの補助を受けて実施されています。

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